派手さはないのに存在感が際立つ。アラビアのビンテージ プレート リオ(Rio)は、そんな言葉がぴったりはまる食器のひとつです。フォルムは、ライヤ・トゥーミ(Raija Tuumi)、装飾はライヤ・ウオシッキネン(Raija Uosikkinen)の手によるもの。ふたりの共作としては他に、花柄が美しいヘイリ(Heili)が知られています。
アラビア リオ/フォルム:ライヤ・トゥーミ、装飾:ライヤ・ウオシッキネン
1940年代後半から40年近くアラビアで活躍したライヤ・ウオシッキネンさん(1923 - 2004)。アラビアで最も多作の装飾デザイナーとして知られ、公式サイトでも主要なデザイナーのひとりに名を連ねています。代表作として、フルーツや花をモチーフにしたシリーズで知られていますが、このリオはそれらとは一線を画す存在。絵柄はシンプルで幾何学的なパターンのみです。
私たちがこのプレートを日常的に使ってきた理由は、このシンプルさにあります。個性がありながら主張しすぎず、他の食器とも調和しよく馴染んでくれるんです。直径17.5cmほどの、さほど大きくないプレートですが、トーストやキッシュを載せたり、コーヒーに合わせるケーキやドーナツの受け皿として長らく愛用してきました。今回は、いままで写真に納めてきたリオのあるテーブルをご紹介します。
チョコバナナのクレープ。鮮やかでない素朴なお菓子でも、上品な金の縁取りが引き立ててくれます
洋梨のチョコレートケーキ。お皿の縁の上絵がケーキを囲って、額縁のような役割をはたしてくれます。フォークはクチポール
ブルーグレーの小さなカップはポルトガルの陶芸家マルゲリータフェルナンデスさんに頂いたもの
サーモンのキッシュ。パイ生地の代わりに食パンを使用して簡単に調理。お皿のゴールドの控えめな輝きが、この軽食をまるでメインディッシュのように見せてくれます
このテーブルの影の主役は間違いなくこのお皿
シンプルなバタートーストをさり気なく引き立ててくれます
ライヤ・ウオシッキネンさんは、旅好きとしても知られていました。訪れた国には中東も含まれ、伝統的なモザイク模様などそこから得たインスピレーションが作品にも影響を与えているように思います。彼女の他の作品とは一線を画すリオ。シンプルでありながら、日常のテーブルに馴染むデザインがリオの魅力です。