エスプレッソ風の濃いコーヒーを家庭で気軽に楽しめるマキネッタ。別名モカポットとも呼ばれてます。数千円から手にはいるマキネッタは、本格的なエスプレッソに挑むまえの入門としてもおすすめ。自宅に一台あれば、カフェオレやカフェラテなどコーヒーをアレンジする楽しみがいっきに広がります。
マキネッタとの出会い
初めてマキネッタに出会ったのは、前職でミラノを訪れたとき。それまでコーヒーの道具という認識はありましたが、目に触れる機会も少なく、使い方がよくイメージできずにいました。にもかかわらず、ミラノの街中に足を踏み入れると、ここかしこに当たり前のようにマキネッタを見かけます。
ミラノのデパートの店頭にならぶマキネッタ(絵:弓庭)。イタリアの家庭には一家に一台マキネッタがあるのは当たり前なんだとか。小さなものから大きなものまで、まるでマトリョーシカが並ぶようです。
普段は、どちらかというと慎重に物を買うタイプです。でもこのときばかりは、使い方を理解するまえに、“欲しい”、という気持ちが勝りました。本当に使いこなせる?という不安感もあり、最初は購入を見送ったのですが、それでも、キッチンにマキネッタが並ぶ姿が、どうしても頭から離れません。結局、再訪したミラノで大きさの異なるマキネッタを2つ購入し、持ち帰ることになったのです。
マキネッタといえばビアレッティ モカエキスプレス。はじめて手にしたマキネッタもこれでした。黒ひげのこのロゴが有名です。写真はアルミ製の2カップ用。ステンレス製に比べ、アルミ製は、一般的に安価ですが、耐久性では劣ります。
イタリアの老舗ブランド、ペゼッティのステンレス製マキネッタ。クラシックなイタリアンデザインと優れた機能性を兼ね備え、様々なカラーを展開しています。写真のベージュは特にお気に入りの色で、カフェノマでも愛用中
アトリエにディスプレイしたマキネッタ。大小サイズ違いでワンセット、というのが買い方の定番です。並んだ姿がかわいいのがその理由?
マキネッタの魅力
マキネッタの魅力は、見た目のアナログ感もさることながら、その手軽さにあります。電源は必要なく大き過ぎることもありません。キッチンには自然と馴染み、価格も手頃で、初めてでも手を出しやすいんです。
コンパクトなマキネッタは場所をとりません。他のコーヒー器具とあわせて収納しています。
手軽でありながら、今まで家庭では実現できないと思っていたような、コクのあるカフェオレも作れます。かつて自宅に取材に来たライターさんにも飲んでもらったことがありますが、彼女もその味を気に入り、その日の帰りにはマキネッタを自分用に購入。以来、毎日のように自宅でカフェオレを楽しむようになったと聞きました。
下部のタンクの水が沸騰し、蒸気圧で水がコーヒー漏斗を通過する様子。上部のポットにポコポコとコーヒーが抽出される音がかわいい!
実際は、マキネッタとエスプレッソマシーンでは、コーヒーを作る方法が異なります。マキネッタは、加熱した水蒸気がコーヒーの粉を通って上に上がってくるのに対し、エスプレッソマシーンは、高い圧力で短時間にコーヒーを抽出します。エスプレッソマシーンで作ったコーヒーは、より味が濃く、クレマと呼ばれるクリーミーな泡が出るのが特徴です。
今回のエッセイでは、私たちのマキネッタとの出会いについて話ましたが、マキネッタを使った氷コーヒーのレシピやアフォガードのレシピについては、後日、また別の記事にできればと思います。マキネッタを使って新しいコーヒーの楽しみ方を見つけてみませんか?