簡単においしいコーヒーをつくれる道具の一つがフレンチプレス。ジャグに似たガラスなどの容器に金属のフィルターがついたコーヒーメーカーです。
コーヒーの味がダイレクトに伝わる
シンプルでありながら、本格的な味わいが得られるフレンチプレス。この器具で淹れるコーヒーは、たとえばワインでいう自然派ワイン(ナチュラルワイン、ヴァン・ナチュール)に近いのかもしれません。限りなく無濾過に近いコーヒーが味わえます。
フレンチプレスで淹れるコーヒーは、コーヒー豆の良し悪しがダイレクトに味に伝わります。そのため、豆にこだわる国内有数の専門店では、“喫茶で出すコーヒーはフレンチプレス”、というところも珍しくありません。この味の秘密は、コーヒーの抽出方法にあります。
フレンチプレスの抽出
フレンチプレスの抽出は、お湯にコーヒーの粉を直接浸します。浸漬(しんし)式とよばれる抽出方法で、コーヒーの風味や香り成分がしっかりと抽出されます。フィルターの目は粗く、微粉も一緒に抽出されるため、他の淹れ方にくらべて豆の良し悪しがそのまま味に影響してくるというわけです。
お湯に浸したあと、豆を取り除き、上澄みのコーヒーだけをカップに注ぎます。専門家が味を評価するときのカッピングにも似ています。
できるだけ新鮮で良質なコーヒー豆さえ選べば、淹れ方自体はとても簡単です。だれでも簡単に淹れられるのがフレンチプレスの一番の魅力。フレンチプレスで争うコーヒーの競技会をほとんど耳にしないのは、そのせいかもしれません。
フレンチプレスの淹れ方
準備するのはフレンチプレス、粗挽きのコーヒー豆とお湯だけです。今回使用するフレンチプレスはこちら。
デンマークのブランド ボダムの「シャンボール フレンチプレス350ml」。フレンチプレスの代表的なメーカーとして世界中に知られています
まず、コーヒー豆を粗めに挽きます。
次に、フレンチプレスの中に挽きたてのコーヒーとお湯を入れしばらく待ちます。
ガラス容器にあてるように注ぐと、ぐるぐるとお湯が回転しはじめ、コーヒーと良く混ざります
上蓋を軽く乗せるように置きます
4分ほどたったら、ふたの上部についているプランジャー(押し棒のようなもの)をゆっくりと押し下げます。
コーヒーの粉は下に残り、上澄みにコーヒーができあがります
最後に、上澄みのコーヒーをカップに注ぐだけ。紙のフィルターを使わないのでコーヒーの油分もしっかり抽出され、味わい深いコーヒーを楽しむことができます。
美味しくするためのひと工夫
フレンチプレスは、金属の粗いフィルターを使うため、フィルターの網の目から油分をはじめとしたコーヒーの成分がしっかり抽出されます。コーヒー豆の良し悪しがそのままコーヒーの味に影響するのは、この粗いフィルターのため。微粉もでるので、少し舌にザラッと感じることもあります。
フレンチプレスを敬遠するひとの多くは、コーヒーに残るこの微粉が苦手なようです。粗挽きにした豆から微粉を取り除くには、さらに細かいメッシュのフィルターを使います。
偶然WECKのガラス瓶に無印良品でみつけたフィルターがぴったりハマりました。
シャカシャカと数回振ると、微粉が取り除かれます。
抽出するコーヒーの成分量に影響しないように、微粉を取り除き過ぎないのがコツ
いかがでしたでしょうか。フレンチプレスで淹れるコーヒーは、自然派ワインのように限りなく無濾過に近いコーヒーというお話をしてきました。そのため、コーヒー豆の鮮度や品質がダイレクトに味に影響するということもお伝えしました。簡単につかえるフレンチプレスだからこそ、むしろコーヒー豆にこだわって、味の違いを楽しんでみたいですよね。
フレンチプレスの歴史はながく、発祥は20世紀初頭のイタリア人デザイナーの手によるといわれています。いまでも多くのメーカーからさまざまなデザインのフレンチプレスが出ています。
なかでもカフェノマのお気に入りは、今回ご紹介したボダムのシャンボール シリーズ。品があり、可愛らしくもある丸いフォルム。ただキッチンに置いておくだけでも、インテリアになりおすすめです。まだ未体験のひとは、ぜひこの機会にフレンチプレスをためしてみてください。