ストックホルムの中心から地下鉄とバスを乗り継いで40分、入り組んだ海岸に沿ったハイウェイを進むと、陶磁器の地として知られるグスタフスベリの村に辿り着きます。数年前、私がこの村を訪れた目的のひとつがカップ&ソーサー、中でもこのグスタフスベリ サリックスは、私が目当てにしていたカップの一つでした。
グスタフスベリ ベンポルスリン サリックス
グスタフスベリの村を訪ねて
国内外を問わず、私にとってその土地に赴く理由の多くは、好きな雑貨を探したり、地元のカフェを巡ること。このときも雑誌で見かけた特集をきっかけに、北欧を巡る旅の目的地にこの村を加えたのでした。
絵柄のモチーフは柳の葉。ラテン語で“Salix”は、“柳”を意味します。
その雑誌の特集のなかに現地のショップが紹介されていました。店内に所狭しと並ぶビンテージカップの数々。店の雰囲気からして、“きっとこの店内にお宝が眠っている”と確信したことを、今でもはっきり覚えています。
Benporslinはスウェーデン語でボーンチャイナ(骨磁器)のこと。透明感と乳白色のニュアンスが美しい。
復刻版にないオリジナルの独特な魅力
復刻版のカップは、フォルムや上絵のタッチにややシャープな印象があり、個人的にはオリジナルのやさしいアナログな雰囲気が気に入っています。このカップを手に入れるために、というと少しおおげさですが、旅の目的のひとつというのは本当の話なのです。
オリジナルの“グスタフスベリ ベンポルスリン サリックス”。復刻版にはない、丸みのあるフォルムが魅力
コーヒーの味の違いがわかる、薄い飲み口
このカップの特徴は、飲み口の薄さにあります。飲み口が薄いと、くちびると舌の接触面積が小さくなり、コーヒーの微細な味の違いをより感じることができると言われています。この特性を活かして、コーヒーの異なる風味を楽しむために、このカップをよく使用します。
蔵前のダンデライオン・チョコレートに、エチオピア・イルガチェフェをあわせて。シングルオリジン同士のチョコとコーヒーの相性が抜群
飲み口が薄いため、熱めのコーヒーやカフェラテでも安心して口に運べます
存在感はあるのにどんなテーブルにも馴染むデザイン、コーヒーを味わうのに丁度いい飲み口の薄さなど、実用的でありながら見た目も主張し過ぎないほど良さ、このカップの隠れた魅力だと感じています。
自宅のカップボードの一番目立つ位置に並ぶこのカップ、数ある北欧ビンテージの中でも最も好きなカップのひとつです。