厚切りトースト。この単語だけでよみがえる記憶や思い出が、多くの人にもあると思います。私にとっても、それは特別な言葉。
三姉妹の末っ子だった私は、小さい頃、母の買物帰りに喫茶店に連れていってもらうことがよくありました。トースト、とくに食べ方へのこだわりのルーツは、この頃にさかのぼります。
横浜元町CAFE DE LENTOのライ麦パン。ほんのりとした酸味と素朴なモルトの風味が特徴
とくに印象に残っているのが、大阪 千里中央の「ニューアストリア」という喫茶店。昭和の香りがいまも色濃く残る、長き老舗の名店です。ここで注文したのは、いつもトーストとミックスジュース。
ニューアストリアのトーストは、鉄板で焼かれます。注文が入るたびに袋からパンを取り出し、小気味よく鉄板に置いていく。そんなテキパキとした店員さんの手さばきを、幼い頃の私は、まじまじと眺めていました。この頃の記憶が重なり、私のトーストの食べ方は少しずつ理想に近づいていきました。
ecomo Bakery YOKOHAMA MOTOMACHIの「有機栽培きたほなみのkakukaku」 国産有機小麦を使った角食。小さいけれどもちもち。どっしりとして食べごたえがあります。
厚切りバタートーストのおすすめレシピ
今現在、私がおすすめする厚切りバタートーストのレシピをご紹介します。
用意するもの
- もっちりと弾力のある食パン
- 塩味の効いたバター(2片)
- ジャム ※お好みで
- 鉄製のフライパン
軽井沢JUGOYAの角食プティの食パン。マスカルポーネが練り込んでありもっちりしっとり
手順
- 食パンを厚さ2.5cmにカットします。
- 溶けたバターが染み込むように、十字またはマス目に切り込みを入れます。
- よく熱したフライパンにバターを落とし、切り込みを下にして焼き始めます。
- 9割程度の焼き目がついたら裏返し、バターを乗せます。
- 全体にバターを塗り広げ、火を落としてから予熱でトーストを更に焼きます。
- お好みで追いバターをのせて完成。ジャムを乗せる場合は、半分未満の面積に薄く塗ります。
おすすめの食べ方は、最初にバターだけが溶けた部分を味わいます。次にジャムが乗った部分を。バターとパン、あるいはバターとジャムとパン、それぞれのハーモニーを堪能します。
神戸三宮のベーカリーバカンスの食パン。中がもちもちとしているのに重くなく、トーストすればサクサクとして軽い、まるでバケットのような食べ心地。毎日食べても重すぎない軽さが魅力
厚さ2.5cmの理由は、バターの染み込み易さや、ひと口で頬張れるサイズを考えて。これ以上の厚さは、トーストと格闘する感じになってしまいます。“冷めないうちに食べきってまだ食べたい”、そう思えるくらいがちょうど良さそうです。
幼い頃から、喫茶店と聞いて楽しみにしていたのはトーストでした。大人になっても地方に行けば、その土地の喫茶店が気になり、トーストを出す「モーニング」を探し歩きます。
「365日」の手のひらサイズの小さな食パン
トーストや、その食べ方が時々話題にあがります。最近は、一過性のブームで終わるものも多い気がしますが、私が探し求めるのは、いたってシンプルな昔ながらバタートースト。焼きたてにバターがジュワッと染み込む厚切りトーストと、あとはコーヒーがあれば満足できるんです。
DEAN & DELUCAのオリジナルバターを乗せて
いろいろ食パンを食べ比べ。比べる事によって、よりそれぞれの特徴がはっきりわかります。まずはそのまま何もつけずに。その後トーストしバターを塗って比べます