心地よい生活空間を考えるとき、最も大切にするのは、「抜け感をつくる」ということ。程よい抜けや隙のようなものがあると、よりリラックスした空間ができる、という思いがあります。もう少し具体的にいうと、味のある古いものが2割、新しいものが8割という割合でしょうか。この割合がちょうど良い心地よさを醸し出してくれるようなんです。
手前のリビングからダイニング・キッチンを眺めるアングル
古いものが2割
古いものとは、人の手を伝って大事にされてきた家具やビンテージ品、時折雑貨店で見かける藤の籠など、時間を経て深みを増したものです。どこか温かみのある雰囲気を持ち、硬くなりがちな空間をほどよく和らげてくれるようなもの。古いものは自然と馴染みやすく、存在感がありながらも違和感なく空間に溶け込んでくれます。
壁の一部には、アムステルダムのお気に入りのカフェを彷彿させる古煉瓦をあしらっています
Madu (マディ)で購入したガラスシェルフ L( W50×D25×H83cm)
新しいものが8割
古いものだけが空間が占めると、部屋全体にすこし野暮ったい印象を持ってしまうことも。それを避けるために、残りの8割はできれば新しいもので満たすようにします。白を基調とした清潔感のある、つるつるとした質感のものがその役割を果たすイメージです。新しいものはシンプルでありながらも空間にメリハリを与え、軽やかさを生み出す効果があります。
白い床や光沢のある丸テーブル、タイル張りのカウンターなどが新しいものとして、その中に、古いビンテージ感のある椅子などを散りばめまています
我が家のリビングダイニングキッチン(LDK)は基本的に白で統一し、新しいものが8割くらいの印象になることを目指しました。この白基調の空間に対して、ビンテージ感のある家具をアクセントとして加えていくイメージです。
自宅の古いものといえば、古煉瓦の壁やビンテージ感のあるスツールなど
新しいもの、古いもの
新しいものと古いものがほどよく混在する空間は、完璧さを一部崩すことで生まれる抜け感を持つように思います。その抜け感が、心地良い空間をつくり上げる鍵となる、そんな一例をご紹介しました。
一点一点買い揃えていった北欧ビンテージチェア。カタチや色が少しづつ異なるところも味わいに深みを増すようです
今回ご紹介する、この「2対8の法則」は、私たちが日々過ごすなかで見つけた、独自の感じ方です。「心地よさ」の定義はひとそれぞれ。あくまでひとつの考えとして何かのお役立ちとなれば幸いです。