I. 空間づくりの基本

器を整える

なぜ、私たちは空間にこれほど影響されるのでしょうか?

自宅にいるのに、なぜか心が休まらない。片付けてもすっきりせず、常に何かに追われているような感覚が抜けない。そんな経験はありませんか?

私たちは、意識している以上に、身を置く空間から大きな影響を受けています。情報やモノが溢れる現代において、空間は知らず知らずのうちに私たちの思考を疲れさせ、心の余裕を奪ってしまうことがあります。

カフェノマが考える「空間づくり」とは、単に部屋をきれいに飾ることではありません。それは、日々の暮らしの土台となる“器”そのものを、心から安らげる状態に整えることです。物理的な空間を整えることで、思考はクリアになり、心に静けさが戻ってきます。

ここでは、心地よい暮らしの土台となる“器”を整えるための、三つの基本的な考え方をご紹介します。

心地よい器をつくる、三つの考え方

step01

余白をつくる

思考と心に「間」を生む

モノがぎっしりと詰まった本棚や、家具で埋め尽くされた部屋は、無意識のうちに私たちの視線と注意を奪い続けます。「余白」とは、意図的に作られた「何もない空間」のこと。それは、視線がふと休息できる場所であり、思考のノイズを減らすためのスイッチです。お気に入りの椅子や一輪の花も、周りに余白があるからこそ、その存在が際立ち、静かな対話が生まれます。

step02

光をあやつる

空間に表情とリズムを与える

部屋全体を一つの照明で均一に照らすだけでは、空間はのっぺりと単調になってしまいます。カフェノマでは、光をあやつることを大切にしています。低い位置に置いたスタンドライトの温かい光は親密な雰囲気を生み出し、壁を照らす間接照明は空間に奥行きを与えます。朝の光、昼の光、そして夜の灯り。移ろう光を意識することで、暮らしに心地よいリズムが生まれるのです。

step03

境界をつくる

日常の中にサンクチュアリを設ける

電子レンジの点滅ランプ、郵便物の山、出しっぱなしの書類。そうした生活感は、「調理しなさい」「返信しなさい」といった無言の要求を私たちに突きつけ、心を休ませてくれません。慌ただしい日常から意識を切り離し、心が解放される時間を持つために、意図的に境界をつくることが重要です。生活感のあるモノを視界から隠すだけで、その空間はあなただけの精神的なサンクチュアリに変わります。

まずはここから。あなたの空間を変える小さな一歩

まずは、ダイニングテーブルの上から始めてみませんか。ペン一本、雑誌一冊、余計なものをすべて片付けて、そこに「余白」をつくってみる。それだけで、一杯のコーヒーを味わう時間が、少しだけ特別なものに感じられるはずです。