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構図がいきるインテリアの撮影|写真のムード解説 vol.5

作成者: 刈込 隆二|2025年02月21日

ブラインド越しの光を活かした室内写真。この記事では、写真の印象を決める4つのポイントを軸に、構図のコツを解説します。

1.光の扱い

最初に光の種類やその調整方法を整理します。

時間帯と光の方向

ポイント: 午前中は太陽の角度が低く、光がやさしく回り込みやすい時間帯です

何をしたか なぜそうしたか 効果
午前中の穏やかな日差しを利用した 日差しが強すぎず、被写体が硬い印象になりにくいため マイルドなコントラストになり、テーブルや小物の質感が自然に引き立ちやすい
ブラインド越しに光を通した 光をフィルターし、ハイライトを抑えたかった 壁やテーブル上の陰影が落ち着き、全体が柔和な雰囲気に仕上がる

 

穏やかなコントラスト

光の当て方を調整すると、強いハイライトや深いシャドウが出にくくなります。特にインテリアの撮影では、以下のような理由から「穏やかなコントラスト」が好まれます。

  • 素材のディテールを捉えやすい|木目や布の質感など、微妙な表情を表現できる
  • 空間全体がまとまりやすい|激しい明暗差がなく、主役と脇役が共存しやすい

2.被写体の配置・構図

次に、テーブル周りのアイテムやアートワーク、撮影角度に注目します。

テーブル周りのレイアウト

ポイント: 小物の数を増やし過ぎず、かつ、高低差をつけると視線にリズムが生まれます。

被写体 なぜこの配置か 効果
古材を再利用したテーブル アクセントになるため、画面中央付近に配置 写真全体に温もりを与える
黒電話風の電話機・本・ブックエンド・トースト 高さと大きさが異なる小物を組み合わせ、視線を奥へ誘導したい 見る人の目が自然に動き、単調さを回避。

 

アートワークとのバランス

壁に飾ったシンプルなイラスト(犬のモチーフ)は、木枠のフレームがテーブルと調和し、アクセントとして機能します。

  • なぜ: 壁に視線の集中点を作り、空間を単調にしないようにしたかった
  • 効果: 縦方向への視線が意識され、余白の意味がいきる

やや斜めからの視点

正面ではなく、左サイドにずらした位置から撮影すると平面的になりにくいです。

  • なぜ: 奥行きや丸みを強調したい
  • 効果: 人が部屋を覗き込むような自然な視線が作れる

 

3.色合い・質感

色使いと素材感は、室内写真の雰囲気を大きく左右します。ここでは、淡い色調にまとめた理由と、異なる材質を組み合わせる意味を整理します。

統一された淡いトーン

ポイント: 淡い色は光を反射しやすく、部屋全体を明るく見せます。強い原色を抑えることで、統一感を保ちやすいという利点があります。

要素 なぜ淡いトーンを選ぶか 効果
白い漆喰の壁 光を反射し、部屋を明るく見せる テーブルや小物の色味が際立ち、余白を活かせる
ベージュの電話機 壁やテーブルと干渉しない色味で、レトロ感を出したかった 空間に自然と溶け込みながらも、独特のフォルムを引き立てやすい
ビンテージ風テーブル 木目の味わいを重視した素材を選択 シンプルな壁や電話機との相性が良く、暮らしの温かさを演出できる

 

材質のコントラスト

異なる素材を合わせると、写真にメリハリが生まれます。

  1. 木製テーブル: マットな質感で光を吸収する
  2. レトロ電話機: わずかな光沢があり、さりげない反射がアクセントになる
  3. ブラインドの影: 壁に縞模様を落とし、平坦な面にリズムを与える
  • なぜ: それぞれの素材が際立ち、組み合わせ全体に動きが加わる
  • 効果: 単調さを避けつつ、トーンを淡くまとめることで調和が保たれやすい

4.空間の余白・バランス

インテリアの撮影では、「どこに余白を作るか」や「アイテムをどう制限するか」が重要です。特に壁面や棚の使い方が、写真の雰囲気を左右します。

壁面の余白と視線誘導

構図を決める際、まずは“どこを空けるか”を意識しました。

  • なぜ: すべてを詰め込むと視線が散漫になり、焦点が定まりにくい
  • 効果: 落ち着いた印象を保ち、雑然としない

必要最小限のアイテム配置

ポイント: 何かを足す前に、一度減らしてみるとまとまりが出やすいです。

どう配置したか 理由 効果
デスク上の小物・棚のモノを厳選 物量を減らすことで、主役(アート)を目立たせたい 視覚的に散らからず、空間に“ゆとり”を感じられる
画面の片側をあえて空ける 被写体を片側に寄せて配置し、構図のバランスを取る 部屋の奥行きを伝えやすく、手前から奥への視線誘導がスムーズ

 

撮影データ

  • レンズ: Canon EF100mm F2.8Lマクロ IS USM
  • 絞り値 (F値): 2.8
  • シャッタースピード: 1/250
  • ISO感度: 200
  • 焦点距離: 100mm (35mm換算)

マクロレンズは被写体との距離が取りやすく、適度なボケ味を作りやすいです。F2.8で背景をややぼかしつつ、奥行きと主役の対比を明確にしています。このときは、 ISO200で、自然光だけでも十分明るさが確保できる時間帯でした。

まとめ

日常の室内でも、光の向きや強さ、被写体の配置を少し工夫するだけで、ナチュラルな写真が撮れます。特に構図を意識すると、わざとらしさのない雰囲気がでます。ぜひ試してみてください。