厚切りトースト。この単語だけでよみがえる記憶や思い出が、多くの人にもあると思います。私にとっても、それは特別な言葉。
三姉妹の末っ子だった私は、小さい頃、母の買物帰りに喫茶店に連れていってもらうことがよくありました。トースト、とくに食べ方へのこだわりのルーツは、この頃にさかのぼります。
とくに印象に残っているのが、大阪 千里中央の「ニューアストリア」という喫茶店。昭和の香りがいまも色濃く残る、長き老舗の名店です。ここで注文したのは、いつもトーストとミックスジュース。
ニューアストリアのトーストは、鉄板で焼かれます。注文が入るたびに袋からパンを取り出し、小気味よく鉄板に置いていく。そんなテキパキとした店員さんの手さばきを、幼い頃の私は、まじまじと眺めていました。この頃の記憶が重なり、私のトーストの食べ方は少しずつ理想に近づいていきました。
今現在、私がおすすめする厚切りバタートーストのレシピをご紹介します。
用意するもの
手順
おすすめの食べ方は、最初にバターだけが溶けた部分を味わいます。次にジャムが乗った部分を。バターとパン、あるいはバターとジャムとパン、それぞれのハーモニーを堪能します。
厚さ2.5cmの理由は、バターの染み込み易さや、ひと口で頬張れるサイズを考えて。これ以上の厚さは、トーストと格闘する感じになってしまいます。“冷めないうちに食べきってまだ食べたい”、そう思えるくらいがちょうど良さそうです。
幼い頃から、喫茶店と聞いて楽しみにしていたのはトーストでした。大人になっても地方に行けば、その土地の喫茶店が気になり、トーストを出す「モーニング」を探し歩きます。
トーストや、その食べ方が時々話題にあがります。最近は、一過性のブームで終わるものも多い気がしますが、私が探し求めるのは、いたってシンプルな昔ながらバタートースト。焼きたてにバターがジュワッと染み込む厚切りトーストと、あとはコーヒーがあれば満足できるんです。